個人的な好みでもありますが、短刀(小脇指)に絞って掲載します。 自身の研ぎもありますし、他の方の古研ぎもありますが、 写真、押し型の勉強を目的に短刀の魅力をお伝えしたいと思います。 短刀、寸延の短刀(平身の小脇指)は全身押し型が無理なく書け、 写真と比較しやすいので地刃の様子が理解して頂けるかと思っています。 第9回目は応安年期のある石州直重の短刀です。
石州直綱は石見国(現在の島根県邑智郡邑南町出羽)出羽鉄の産出する地に住んだとされ中心にも出羽と記されたものが多い。 直綱もまた子の貞綱も数代続き、貞綱の子の貞行も室町後期まで続いて 繁栄する。また初代貞行の子の長浜系の祥末が多く作品を残す。 石州直綱は正宗十哲に挙げられていますが、現在正宗十哲に関しては 懐疑的な点が多く刀剣界に於いてもあまり信用されていません。 地鉄は相州伝特有の板目で沸強いものとは異なり、杢目に柾目が交じるとされる。刃文は互の目が多く尖りごころの感がある。
本作直重は校正古刀銘鑑によると、初代直綱の子(あるいは門人か)と言われており応安3年(1370年)南北朝末期の貴重な年期が残り、二代の 直綱の作に永和年期のものがあるところから、同時代に石見国に生きたことは明白で直綱一門で間違いないと思われる。 同作も重ねのやや厚い 造り込みに直刃調に揃った互の目を焼く。地鉄は相州伝正伝の強い鉄ではなく、ざんぐりとした感はあるものの、よく詰んで美しく、鮮明な地映りが見られます。また板目に杢が交じり刃よりに柾がかった肌が見られ一派の特徴の 棟焼きがある。